2歳児の保育「三つ子の魂デシデシドン7」

7,雨が空からふれば

7月初旬

 部屋の掃除はシフトの遅番が6時ころ、子どもたちが延長保育のために0,1歳児室に移動したら掃除機をかける。リーちゃん、ルーシー、僕の3人で掃除機の掛け方は違うのだろうけれど、僕は入り口に近い絵本コーナーからかける。あまり部屋の真ん中からかける人は少ないと思う。端にあるコーナーは絵本コーナーとままごとコーナーなのだが、ままごとコーナーは物がたくさんあり、いかにも掃除がしづらそうに見える。前職の同僚のしげさんも「仕事の先が見えたほうがやる気が出る。」と言っていた。つまりできるだけ早く何らかの成果が見えるとやる気が出るということだ。ままごとコーナーにかかりきりになってなかなか片付かないとそのうち疲れたり、飽きたりして、次の場所から手を抜いたりしてしまうかもしれない。絵本コーナーにはじゅうたんがあり、最近、買ってもらったままごとコーナーと同じ丸テーブルが置いてある。ホームセンターで売っていたコタツの下に敷くような茶系統の格子柄の3畳ほどのじゅうたんだ。僕は丸テーブルをよけ、じゅうたんをいったんブロックコーナー側において掃除機をかけた。「掃除機や雑巾がけは畳でも板でも『め』に沿ってかける」と言うことを母親だったか、しげさんだったか、連れ合いだったか、誰に教えられたのかは忘れてしまった。掃除機をかけた後、ゴミをはらうためにじゅうたんをテラスに持って行き、じゅうたんの真ん中あたりを両手で持って上下に振った。部屋に戻ってじゅうたんを敷き、丸テーブルを置いたときに本棚の「うたの絵本」の本が目に入った。見開いた両側のページにその歌をイメージした絵とともに詞が書かれている童謡の本だった。

 

 今日の午前中、善と千穂がその絵本を見ながら二人で順番に歌っていた。もちろん文字は読めないが絵を見れば何の歌だかわかる。普段は僕たちが絵を見せながら1ページずつ歌っていた。それで覚えたのだと思う。ところどころとばしながらだけれど、それでもよく覚えているなと感心する。

「ぶんぶんぶん はちがとぶ」

「ぶんぶんぶんぶんぶんぶ」

善が少し間違え二人の歌が一致しなかった瞬間、お互い顔を見合わせ大笑い。また歌い始め、また合わないと、またまた大笑い。次の「いぬのおまわりさん」は千穂だけ歌い、善はわからず、「かたつむり」は二人ともうまく歌い、歌い終わるとにっこり。全部で26曲あるので、そんなことを飽きずに繰り返していた。

 

 隣のブロックコーナーに移る。ここはブロックやひも通しを入れた棚があるだけで掃除はしやすい。棚の反対側の壁側にある子どもたちのロッカーの上には保護者が送迎時間を書く送迎表やその日のクラスでの出来事を書いたノートが置いてあり、その壁には横12X縦10cmのポケットが24個付いたビニール製のシートをつるしていた。それぞれのポケットに子どもの名前が印字されたシールが貼ってあり、連絡帳やお便りなどを入れ、保護者にもれなく渡せるようにしていた。送迎表の横にはよくカブトムシや鈴虫なんかを入れるような透明のケースがありその中にあじさいの葉っぱと一緒にカタツムリが1匹いた。雨上がりのある日、駅から保育園の道すがら、歩道わきの雑草の上にいた「彼」と知り合い、子どもたちに紹介しようと思って連れてきた。名をタナカ君という。何人かの子どもたちが毎朝、登園したときに挨拶をしてくれていた。ある日、義樹がじっとケースを見た後、僕に

「たまだくん、いないよ。」

と言った。

「なにがいないの?」

「タナカくん」

「えっ、ほんと?」

見てみると確かにいない。いったいどこに行ったのだろう。ふたが開いている様子もない。信じられないが自力で押し上げて逃げたのかもしれない。「自由への逃走」は基本的には支持するけれど、途中で生き倒れになってもよくないので保護者のみなさんにも呼び掛けて捜索をしようということになった。リーちゃんがイラスト付きでクラスノートに

『たまだ君のお友だちのタナカ君が行方不明になりました。心当たりの方は担任まで』

と書いて情報を呼びかけたが結局見つからなかった。カタツムリにケースは狭すぎたようだ。タナカ君は命がけで自由を獲得した。同時期に3,4,5歳児クラスの亀のシーザーも逃走した。亀とはいえカタツムリよりは足が速いにもかかわらず体の大きさゆえに早々に子どもたちに発見され、相棒のクレオパトラのもとに戻った。彼らも狭いところに入れられ、自由を制限されて申し訳ないが長くいる分、クラスになくてはならない存在になっている。彼らを見て落ち着く子どももいるのだ。ちなみに2匹はつがいでもなんでもなく、彼らがやってきたときの3歳児担任のトム(ニックネームの由来は不明、氏名共に関係はないらしい。現5歳児担任)がオスメス確認せずに1匹を亀にしては気品のある顔だという理由でクレオパトラと名付け、じゃあもう1匹はシーザーだと5歳児担任のろくさん(苗字が六山でろくさん、現一時保育担当)が名付けたらしい。

 

 制作、パズルコーナーはテーブルのうえに椅子をあげて掃除機をかける。あれっ、パズル。これは何のだ。未完成だと子どもたちも気づかないで片付けてしまう。こうやって確実に回収できればなくなることもないのだけれど、どこに行ったのかパズルが数片かけてしまうことがよくある。なぜだろう。あれっ、ひも通し。なんでここにあんだ。ブロックコーナーのほうにひも通しはあるんだけどな。あれっ、粘土。ほこりがついてるじゃん。これはもう使えない。あれっ、折り紙の切ったん。今日、午後のおやつのあとのお部屋遊びでリーちゃんがハサミを使わせてたな。

 

 ここのところ雨が続いていた。子どもたちはお部屋の遊びも何となく飽きてきてコーナーにとどまって集中して遊ぶことができず、ブロックコーナーでは家であろうが、飛行機であろうが作ったブロックを武器に戦いごっこが始まり、ブロック同士がぶつかりガシャーンとなって、壊れ、散乱し、それが楽しくなってしまい、作っては壊しを何度か繰り返し、子どもたちはブロックを回収することもなく友だちとじゃれ合ったり、ほかのコーナーに行こうとする。図書コーナーでも読んだ本を片付けずに、本を踏みながらまた、別の本を出す。一番すごいのはままごとコーナーで、ただでさえ、すぐに散らかってしまうのだが、床一面、いろいろなものが落ちている。子どもたちの落ち着きのなさのバロメーターは床にどれだけものが落ちているかだ。僕たちが「はしらないよー」「ふまないよー」「かたづけるよー」と声を大にして言うものだから狭い部屋でますます落ち着きのない空間となってしまった。そんな時、僕たちは何か「隠し玉みたいなもの」を出すときがある。

このあいだは、リーダーのリーちゃんが

「はさみするね。」

とルーシーと僕に声を掛けた。

「ハサミでなにするの?」

と僕が聞くと、

「ほら、この間折り紙で丸と三角、切る練習したじゃん。あれの続き。」

と言いながら押入れからハサミとノリと折り紙とコピー用紙を出してきた。折り紙の裏に〇や△がかいてあり、それを切ってコピー用紙にペタペタ貼る、そんな制作だ。

「チョキチョキするから、やりたい人はおかたづけしてテーブルにきて―」

と言うとやりたいと思う子は持っていたブロックや、本、パズルや粘土を片付けて席についた。本を読みたい子、ブロックで遊びたい子、ままごとをしたい子はその場に残ったが、その子たちはそれがしたいと思って残ったのでその場である程度集中して遊ぶ。いまいち集中していなかった子どもたちが新しい遊びに集まってくる。そうすると部屋の中が落ち着きを取り戻す。

 僕も『隠し玉』を探して「百金」に行き、(いいもんあった!)と思って大きめのビーズを調達し、ひも通しにでも使おうと思って、リーちゃんルーシーに見せたら即座に

「こんなにおいしそうに見えるもの、食べるでしょ!」

と即座に却下された。大きさがちょうど飴玉ぐらいで色もパステルっぽく、イチゴ、ブドウ、メロン、レモン、ハッカまである。二歳児のおもちゃについては誤飲のことは考えなくてはならないが忘れていた。ちなみに自腹を切る保育士さんは多く、「百金」はその保育士さんへの貢献が計り知れない。自腹なんぞ邪道ではありますが子どもが喜んでくれるかなと思うとついついやってしまう。

 

 簡単なぬりえや、のりペタペタ、などの制作のほかには園内散歩と称して他のクラスやホール、図書コーナーを回ることもある。

先日の雨の日、子どものものの取り合いがあったり、物を出しっぱなしでコーナーを移動したりする子が多くなり、なんとなく僕たちの「それ、あぶないよ」とか「あれれ、おもちゃ、ふまないで」などの声がけが増えてきたのでルーシーが

「さんぽにいくか!」

と言って

「さんぽにいきたいひとはおかたづけしていりぐちにきてー。」

と募集を掛けると多くの子どもたちが集まってきた。太郎と幸夫と義樹はミニカー遊びに夢中。達彦はパズルに熱心に取り組んでいた。

「おとなりのひととおててつないで。」

ルーシーがそう言うと子どもたちは、周りを見ながら手をつなぎ1列に並んだ。何度か園内散歩をしているのですぐに1列に並べたが最初はうまくはいかなかった。

 

 最初に園内散歩に行ったときはリーちゃんが声を掛けた。

「となりのひととおててつないでー。」

その時は園外への散歩のときのように二人ずつ手をつないでいた。

「えーッと、一列になってほしいんだけど、どうするかな。」

リーちゃんが僕のほうを向いて言った。何か意図があるようだった。僕は子どもたちの列の並びの横に立った。

「みんな、たまだくんのほうを見て。」

子どもたちは僕のほうを見た。見ただけだ。横を向いたとたん横一列、にはならない。むしろ手をつないだまま横を向いたのでつないでいる手がねじれたりして何にもならなかった。

「だめか。」

とつぶやいてリーちゃんのほうを向くと、今度はリーちゃんが

「みんな、いっかいてをはなして。」

リーちゃんがそう言うと子どもたちはばらばらと手を離し始めた。誰かが

「てはなして。」

と相手のお友だちに教えている子もいた。あらかた手を離したのを見てリーちゃんは

「ひーちゃんのうしろにちかちゃんならんで。」

瞳の後ろに知香がついた。

「ちかちゃんのうしろにたけちゃん。」

武士はリーちゃんを見ながら少し自信なさげに知香の後ろについた。薫は言われる前に武士の後ろにつき、友子、波も言われる前についた。そのあとは次々と友だちの真似をして後ろに並び、一列になった。そして、リーちゃんが列の横に立って

「みんなこっちをむいてー。」

と声を掛け、みんながリーちゃんのほうを向いた後

「おとなりのひとと、てをつないで。」

と言うと、子どもたちは隣の友だちと手をつなぎ、リーちゃんは(これでよしっ!)とばかりにうなずいた。言葉だけではなく、一つ一つの工程も丁寧に伝えることは時には必要だ。

 

 最初はうまく並べなくても、何度かすると子どもたちも慣れてくる。前後の友だちと手をつないで、きれいに1列になった子どもたちに

「みんなー、おっけー?」

とルーシーが声を掛けると

「いいよー」

と2,3人が口々に言った。

「じゃーしゅっぱーつ、でんでらりゅうば でてくるばってん でんでられんけん でーてこんけん こんこられんけん こられられんけん こーんこん」

長崎県のわらべ歌を歌いながら歩き始めた。最初にリーちゃんが子どもたちに一列になってもらったのは手つなぎ遊びをするためだった。

「じゃー、リーちゃん、行ってきます。」

「みんなー、いってらっしゃーい。」

と留守番部隊の様子を見ていたリーちゃんに声を掛け、僕は最後尾からついて行った。歌はテレビでもやっていたので子どもたちもよく知っており、みんなで歌いながらうねうねとうねりながら進んでいく。長崎のお祭りで大きな竜が出てくるがそれを考えるとぴったりの歌だと思える。うねうねとした竜のいつものコースは廊下を通ってホールにおいてあるピアノの前で歌を歌ったり、リズム遊びなどをする。更に3,4,5歳児室の前の廊下を通って玄関わきの図書コーナーで絵本を2,3冊読んで、テラスに出る。テラスで雨の時は「あめあめふれふれ」と『あめふり』を歌い、『てるてるぼうずてるぼうず』とお題目を唱えて明日からの良い天気をお願いする。歩くときの歌はほかに『さんぽ』やわらべうたの「かりかりわたれ ちいさなかりはさきに おおきなかりはあとに なかよくわたれ」などを歌う。戻ってくると気分転換になるのか、遊びも新鮮になるのか、また子どもたちそれぞれの遊びにふけることになる。たまに留守番部隊が「こんどはぼくが、わたしたちが」となるので第2弾が出発するときもある。

 

 ままごとコーナーの掃除は「ぴんきり」がある。ままごとコーナーには流し、食器棚、冷蔵庫、丸テーブル、ソファ、ぬいぐるみの入った箱、布や布団の入った箱、などがある。それらを全部動かして掃除機をかけるのが「ピン」すなわち最上級。それから動かすものの数によりランクが変わり何も動かさず掃除機をかけられるところだけかけるのが「キリ」、すなわち最下級である。ちなみにロボット掃除機はこのレベル。時間的に押していれば「キリ」になるし余裕があれば「ピン」に近づく。掃除係が回ってくるのはシフトによるので3週間に一度、1週間は掃除係だ。だから少なくとも1回は「ピン」でやることにはしている。今日は時間がなくはないので動かしやすい箱とソファを動かしてキッチンはそのままで掃除機をかけよう。

 あれっ、手裏剣。ルーシーが「落とさないでね」って言ってたんだけどな。

 

 午前中、お集まりが終わった後、テーブルに座っている子どもたちにリーちゃんが新聞紙をぐしゃっと丸めてガムテープで止めたものを見せて

「今日は新聞紙を丸めてボールを作ってみようね。これなんだけど。そのあとに投げて遊ぼうね。」

と声を掛けた。子どもたちは新聞紙をじっと見ている子もいれば隣の友だちとニコッと笑い合っている子どももいる。ルーシーと僕が手分けをして新聞紙を1ページ分、配った。

「じゃ、リーちゃんがやってみるから見ててね。」

と言うとリーちゃんは新聞紙1枚をぐしゃぐしゃっと丸めた。

「こうやってまるめてぎゅっぎゅっとおにぎりにぎるみたいにしてね。そしたら、あっ、タケちゃん、まだちょっとみてて、ひーちゃんもね。」

武士と瞳ががフライングをしてぐしゃっと丸めたところだった。

「いい、たけちゃん、ひーちゃんみててね。そしたらガムテープで1かいまいてそのあと2かいめもまく。」

リーちゃんの横にあるブロックがしまっている棚に貼り付けておいた10センチほどのガムテープを丸めた新聞紙に貼りながら言った。

「まるめおわったらルーシーかたまだくんにいえばガムテープくれるからね。じゃ、まるめてください。」

子どもたちが一斉に丸め始めた。ぐしゃっとするのは得意だが、それを丸めるとなると手の小さい2歳児は苦労をする。おにぎりなんか握ったことはないだろうけれど、2歳児なりに丸めようとしている。

「ガムテープ、くださいっ!」

「ひーちゃんも。」

早速、武士と瞳が声をあげた。武士のは所どころ角が立っている。瞳は製作が得意なだけあって、見事な出来栄え。

「たけちゃん、ここのところもぎゅっとして。」

僕はガムテープをちぎりながら言った。瞳にはルーシーがガムテープをあげた。

瞳はこれも器用にガムテープを十字にクロスするように2枚巻いた。

「じょうずにできたね。」

ルーシーが感心したように言った。

「いそがなくてもいいから、ぎゅっぎゅって、なんかいもやっていくうちにボールになるからね。」

とリーちゃん。

「できたらいってね。」

といいながら僕は子どもたちが丸める様子を見ていた。瞳は何とかガムテープを貼ることができたが武士は新聞紙のそこら中にくっついてしまい、うまく貼れず、でもそのままくしゃくしゃっと丸めて「ドヤ顔」で隣の隆二のボールを覗きこんだ。僕が隣にいるのに隆二も元気よく

「ガムテープください!」

「あいよっ!」

と言いながらガムテープをちぎって

「はいどうぞ」

と言ってあげると

隆二は

「ありがと」

と言って左手で受け取った先からガムテープに手に絡ませ、ボールを置いて右手で取ろうとしたが今度は右手に引っ付き、訳が分からんことになっていた。見かねて僕が

「りゅうちゃん、とってあげるから。」

と言ってガムテープを取ってあげたが、

取った瞬間

「いたっ」

と言って手を引っ込めた。取れたガムテープを持ちながら

「ごめんごめん、いたかった?」

と聞くと隆二は右手を左手で押さえて頷いた。

「ちょっと子どもたちでガムテープを貼るのは厳しいかも。」

とリーちゃん、ルーシーに言うと、ルーシーも同じような状況で

「そうだね、みんな、ルーシーと、たまだくんがはってくれるからね、ちょっとまっててね。」

とリーちゃんがすぐに子どもたちに言ってくれた。とりあえず隆二のボールを巻くと隣に座っていた知香やその向かいの義樹が

「ちかちゃんもー」

「よしくんもー」

と次々に声をあげた。

「はい、はい。」

と言いながら巻いている最中にも同じテーブルの友子が

「ともちゃん、じぶんでするー。」

と言ったので

「テープ、ともちゃんのまえにはっておくから。」

と言いながらテープをテーブルの端に貼った。手渡しだとさっきの隆二みたいに手とテープが絡んでしまうかもしれなかった。

「やっちゃんもじぶんでする?」

と聞くと康江は

「うううん」

と首を振ってボールを差し出した。

「はるの?」

と聞くと

「うん」

というので

「はってください!って、いってくれるとうれしいなあ。」

と僕が言うと

「はってください!」

と康江が声を張り気味に言った。ガムテープを貼って康江に渡すと

「ありがと!」

とまたまた声を張り気味に言った。

廊下側のテーブルから真ん中のテーブルに移ると幸夫がボールを丸めて待っていた。

「おまたせ、ゆきちゃん、じぶんではる?」

と聞くと幸夫は少し考えて

「うん」

と言ったので

「がんばってね」

と言って友子の時と同じようにテーブルにテープを貼った。

「わたるくんはどうするの?」

と聞くと隣の瞳のボールを見ながら悩んでいるようだった。すると瞳が

「する?」

と渡に言うと渡はちょっと考えて

「わたるくんがする。」

と答えた。

「ひーちゃんもありがと。わたるくんがわかんなかったらおしえてあげてね。」

と言ってガムテープをテーブルに貼り付けた。

 ほかの子どもたちはリーちゃんとルーシーが手分けして手伝っていた。

「みんなできたー?」

リーちゃんが前の席に戻って聞くと

「できたー」

と麦や武士の声が返ってきた。

「それじゃ、つくったボールをなげてあそぶからね。いまからたまだくんとルーシーにじゅんびしてもらうあいだ、ちょこっとかみしばいをよむから、えほんコーナーにきて。」

リーちゃんが声を掛けると子どもたちは椅子から立ち上がり、ぞろぞろ絵本コーナーに向かおうとした。何人かの子どもがボールをテーブルのうえに置きっぱなしにして行こうとしたのでルーシーが

「ボールもっていってね。」

と声を掛けてあげた。

 僕とルーシーはまず部屋の中央にあるブロックや、パズル、粘土なんかが入っている棚をロッカー側に寄せ、テーブルを畳んで押入れの前におき、椅子18脚を3脚ずつ重ねてままごとコーナーに置いた。そして壁に1メーター四方の段ボールに同心円を3つ描いた「マト」を、あじさいの花が枝に貼られた「リーちゃんの木」の両側に1つずつ、ガムテープで貼り付けた。更に「マト」から3メートルぐらい離れた床に赤いカラーテープをちょっと長めに貼った。準備を終えて子どもたちのほうを見るとちょうどリーちゃんが「ないたあかおに」の紙芝居を読み終えたところだった。

リーちゃんが紙芝居をしまいながら

「みんなみてー。タマダくんとルーシーがつけてくれたダンボールあるでしょ。あれにボールをあてるからね。」

子どもたちは壁にある「マト」を興味津々で見ている。

「全員で投げるとちょっと多いかな。」

リーちゃんが「マト」の前あたりにいる僕とルーシーに聞いた。

「そうね、半分ずつ投げる?」

ルーシーがそう返答した。

「じゃー、名前呼んだ子からにするね。」

リーちゃんがそう返して、集まっている子どもたちの後ろから、つまり「マト」側にいる子どもから名前を呼んだ。

「じゅんばんこでなげるから、なまえをよばれたおともだちはルーシーのところにいってならんでね。ちほちゃん、かおちゃん、たろちゃん、あさちゃん、たっちゃん、なみちゃん、あきちゃん、むーちゃん。あとのおともだちはまっててね。」

 名前を呼ばれたお友だちはぞろぞろとルーシーのところに言った。

「そこにあかいテープはってるでしょ。みんな、そこにならんで。」

とルーシーが言うと子どもたちは下を見ながら上手に一列に並んだ。

「それじゃ、まとにむかってみんなー、なげてー!」

ルーシーがそう言うとみんな一斉に投げた。バタバタ―と音がして「マト」に当たったものもあれば「マト」を外したものもあった。

「じゃー、じぶんのなげたボールひろってー。」

とルーシーが声を掛けると子どもたちは、自分のはどれだろうという感じで拾っていた。(あー名前を書いておけばよかったかな)と子どもたちの様子を見て思ったが、子どもたちは何となく自分のものと思えるものを拾っていた。それが正確かどうかはわからないが。

「いまなげたおともだちはロッカーのほうにすこしさがってて。」

ルーシーが言ったことをわかっていない子もいるようだった。

「こっちだよ。」

僕はロッカーの前に立って子どもたちを呼んだ。子どもたちも何となく理解してロッカー側に下がってきた。

「じゃー、のこりのおともだち、たってください。」

子どもたちの中にいきなり立つ子どもがいた。隆二と武士だ。完全に一番を狙っている。

「りゅうちゃん、たけちゃん、はしらなくていいからね。わかった?」

二人は見透かされていることに動揺したのか眼が泳いでいる。

「じゃ、きてください。」

すぐにルーシーが声を掛けたので、隆二も武士もスタートが遅れ、前にほかのお友だちがいたので走ることはできなかった。

「あかいてーぷにならんでね。いいー?はい、どうぞ。」

第二組も一斉に投げて、投げたボールを取りに行った。

「はーい、みんななげたね。さっきなげたおともだち、またまえにきて。こうたいねー。」

ルーシーが前で声を掛けた。リーちゃんが僕に近づき少し目配せをした。僕は子どもたちに気づかれないように部屋をそっとでた。

 室内から見て、入り口の右側が絵本コーナーで廊下側の壁は畳一枚ほどの窓になっている。僕はこっそりとその隅から中を窺っていた。子どもたちが何回かボールを投げ終わったあたりで、リーちゃんがこちらを向いて少し頷いた。僕は窓の前で首を自分の手で押さえ、苦しんでいるふりをしたり、後ろにひっくり返ったり、後ろに下がりながら誰かに引っ張られているような演技をした。

「たいへん、まどをみて!たまだくんがだれかにやられている!」

リーちゃんの声が聞こえた。僕は迫真の演技を繰り返した。部屋の中では「ぎゃー!」と大騒ぎになっている。皆、リーちゃんとルーシーに寄って泣き叫んでいた。僕は、あらら、やりすぎか、と思いつつ「さらわれた」先の図書コーナーに向かった。

 

 以下はあとでリーちゃんとルーシーに聞いた話。

大泣きは、友子、武士、麦。普段、声が大きくて元気な子が泣いているところでも目立っていた。他の子どもも泣いていたり、不安な表情を見せていた中、瞳、太郎、幸夫はほとんど動揺していなかった。

リーちゃんが

「このままじゃ,だめだ―。たまだくんをたすけにいこう!」

と言っても友子と武士は大声で

「いやー!こわいー!」

麦はルーシーが

「このままじゃ、たまだくん、たべられるかもしれない!」

と言うと

「たべちゃだめー!」

と泣きながら叫んだ。(あとでルーシーには「よかったね、たべていいと言われなくて。」と言われた。)

「ほかのみんなーどうするー?」

とルーシーが聞くと、怖がらない突撃3人組が

「いくー!」

と行く気満々でもはや扉を開けようとしていた。リーちゃんが

「ちょっと、まってて。そうだ、いま、みんなでつくったボールをもっていったらだいじょうぶかも。たまだくんをたすけられるんじゃない?ボールをもって、たまだくんをたすけにいこうー!」

瞳、太郎、幸夫の3人は「おー」と言い、ボールを持ってすでに扉の前にスタンバっている。他の子どもたちは全く乗り気ではないがリーちゃんルーシーも一緒だし、たまだも心配だし、怖いけれど行くか、と言う感じでノロノロと扉の前に来た。問題は友子、武士、麦だった。普段の勢いは君たちいったいどこに行ったの、と言うぐらいの号泣で

「いやだー!いきたくないー!」

と口々に3人さん。

「じゃー。おるすばんしてる?」

ルーシーがそう尋ねると

「いやだー、おおかみがとんとんとんとくるー。」

と武士。(子ヤギの話か、子ぶたの話かよく覚えていたなと感心したとルーシー。)

「ルーシーとリーちゃんがまもってあげるからいこっ!」

とルーシーが言うと友子がまず

「いぐー」

と泣きながら言い

「たけちゃん、むーちゃんはいける?」

と問うと、友子が行くならしょうがないという感じで二人とも泣きながら

「いぐー」

と言った。

「3にんとも、なくのがまんできる?ないてると、たまだくん、しんぱいするよ。だいじょうぶ?」

とルーシーが聞くと

友子が

「わかったー。」

としゃくりあげながら言い、麦もこっくり頷いて、泣くのを我慢し始めた。

「たけちゃんは?」

とまだぐずぐず泣いている武士にルーシーが聞くと、武士はなぜかほっぺを膨らませて我慢し始めた。(それはとてもかわいかったとリーちゃんが言っていた。)3人が一応、泣きやんだのを見てリーちゃんが

「それじゃやーいくぞー。」

とみんなのほうを見てこぶしをあげたが

「おー!」

と元気よく答えたのは突撃3人組だけだったらしい。

それから図書コーナーに行くまでの道中が大変だったみたいで、突撃三人組は早く、早くと先行して行こうとするのに、ほかの子どもたちはほとんどがリーちゃんとルーシーにまとわりつきエプロンの裾やらズボンの裾をつかもうとする。麦に至ってはルーシーの足にしがみついて、ルーシーがずるずると引きずって行った。更に号泣3人組は泣きやんだものの、口々に「こわい―」と叫びつづけ、ルーシーとリーちゃんが「だいじょうぶ、だいじょうぶ。」と言い続けていた。2歳児クラスからホールを通って3、4,5歳児クラスの前の廊下を通って玄関わきの図書コーナーまで行くのだが途中、3、4,5歳児クラスから3歳児担任のめぇぇーちゃん(苗字が「八木(やぎ)」なので「めぇぇーちゃん」)が顔を出し

「どうしたの?」

と声を掛けてくれた。ルーシーがみんなに

「これからたまだくんをたすけにいくんだよね。」

と同意を求めると、ほかの子どもたちは不安げにうなずく中、武士は

「いぐー!」

と半泣きで言った。めぇぇーちゃんは笑いながら

「がんばってね!」

と応援してくれた。

 なんとかかんとか、押しくらまんじゅう状態で図書コーナーに子どもたちがやってきた。

 

 昨日の昼休みに明日は雨模様だからお部屋で何して遊ぶかの相談をしている時、その日の園庭での出来事が話題になった。砂場で義樹が砂を投げて遊んでいた。本人はたぶん気づかなかったかもしれないが近くに1歳児も砂遊びをしていたのでリーちゃんが

「おともだちがいるからすなはなげないで。」

と注意をしたが、そのあとまた投げていた。そこでリーちゃんは

「これだったらなげていいから、すなはなげないで。」

と言ってドッジボールをあげた。しかし当然と言えば当然だがドッジボールを投げることはできず、かといって適当な大きさのボールもなくその場は結局義樹がサッカーをやりだして終わった。

「この間の散歩のときは、タケちゃんが石を投げてたね。」

砂利道を通っていたときに武士が落ちていた石を拾って下手でぽいと投げたことを僕は思い出した。先に車が止まっており危うく当たるところだった。この時もすぐにルーシーが

「いしはなげないで。」

と声を掛け、武士もやっちまった的な顔つきで神妙にしていたがルーシー曰く

「どこまでわかっているのやら。」

「物を投げたいのは投げたいんだよね。」

リーちゃん。

「ボールでも投げる?投げていいもののイメージができればこれはいいけどこれはだめってわかりやすくない?」

ルーシー。

「こっちも話しやすいしね、投げるのはボールにしてくださいって。」

リーちゃん。

「2歳児が投げられるボールはないでしょ。」

僕。

「作る?」

リーちゃん。

「どうやって?」

僕。

「紙、丸めて。」

リーちゃん。

「そっか、制作で新聞紙丸めてボールつくって投げて遊ぶ。」

ルーシー。

「マトでも作る?」

僕。

「マトだけだとすぐ飽きるかな。」

リーちゃん。

「鬼退治でもする。」

僕。

「そうね、たまだくん救出作戦でいく?たまだくんが連れ去られることにして、図書コーナーまで救出しに行く。」

リーちゃん。劇団女優にして舞台監督。

「あー、おばけかなんかの格好でもする?鬼でもいいけど。」

僕。

「あのさ、前々から思ってるんだけど、おばけとかさ、妖怪とか、鬼とかさ、簡単に悪者のくくりになっちゃうけど、そこまで悪くないじゃん。オバケのQ太郎とか、ゲゲゲの鬼太郎とか、泣いた赤鬼とかいいもんだし、やまんばですら腹すかしてるんだろうな、って同情しちゃうんだよね。」

とルーシー。

「たしかにねー。人間がいつも正しいかっていうとそういうわけでもないもんね。動物なんかからしたら、人間こそ恐ろしい相手だよね。」

リーちゃん。

「確かに。じゃ、誰にさらわれたことにする?誰もが認める悪者と言えば悪代官とか越後屋とか。」

「そんなの子どもたちがわかるわけないじゃん。」

良かった、リーちゃんが反応してくれて。

「イジワルしたけど本当は仲良くなりたかった、っていう筋書でいく?」

リーちゃんの提案。

「そうね、けんかする相手がいないと助けに行くっていうことにもならないしその気も薄れる。それにけんかをして、仲直りするっていうのが子どもたちにはしっくりくるね。」

ルーシーが提案を受け入れた。

「終わったときに勇者の証みたいなものをあげる?」

今度はルーシーの提案。

「いいね。なにかある。」

僕、同意。

「折り紙?」

リーちゃん。

なにが言い、かにがいいと話し合い、手裏剣にすることにした。この際、武器の贈与はいかがなものかと野暮なことは言わない。子どもたちはたぶん、喜ぶ。

 そうと決まれば、準備をスタート。この手のものを作ることにかけては保育士さんは仕事が早い。マトと手裏剣を瞬く間に準備し、リーちゃんが倉庫からお手頃の白いシーツを持ってきて

「たまだくん、ちょっとかぶって。」

と言われたので頭からかぶると

「目の位置、しるしをつけるからね。」

と言われ、棒状のもので片目ずつ、つつかれた。どうやらマジックだったらしい。シーツを脱ぐと、リーちゃんがハサミで目の部分をくりぬいてくれた。これで準備は万端。マトあての準備をしている時に「泣いた赤鬼」の紙芝居を読んで、相手をことさら悪く思わないようなお話もしておくことにした。

たまださらわれる。子どもたち、図書コーナーに助けに行く。シーツをかぶったたまだ、子どもたちを威嚇する。子どもたち、紙のボールで応戦。頃合いを見て「ともだちになりたかったんです。ごめんなさい。」ソファの陰でシーツを脱いでたまだ現れる。みんなに「ありがとう、お礼に勇者のしるしをあげる。」と言い、勇者のしるしを配っておしまい。というシナリオが出来上がった。

 

 僕は白いシーツをかぶって子どもたちを待っていた。子どもたちが大騒ぎでやってきた。僕は「ガオー」と言ってシーツの中から両手をあげた。体が大きく見えてビビるはずだと思ったが、子どもたちはそこまでビビっているようには見えなかった。事前の子どもたちの想像がすごすぎて、実際のおばけはしょぼすぎたようだ。リーちゃんが

「さーみんな、おばけさんにボールを投げてタマダくんを助けるのよ!」

一応、おばけにも敬意を表して「さん」づけ。待ってましたとばかりに突撃3人組がボールを投げ、ほかの子どもたちもリーちゃんやルーシーから離れ、ボールを投げつけた。友子も麦も武士も正体が「しょぼい」とわかった時点でケロッとして普段の姿に戻り、ボールを投げつけた。突撃3人組は投げたボールを取りに行き、ちょっと戻って投げつけまた投げてと繰り返し、他の子どももそれに習い始めたので、そろそろ潮時かもと思い、

「ごめんなさい、みんなとともだちになりたかったんだよー。」

と座り込んだ。

「みんな―、ストップ―。おばけさんもあやまっているからゆるしてあげようね。」

とリーちゃんが言うと、皆、素直に

「はーい。」

と言った。僕は図書コーナーの真ん中にあるソファの陰に隠れるようにして素早くシーツを取り

「みんな、ありがとう。」

と言って出ていった。リーちゃんが

「たまだくん、だいじょうぶ?」

と聞いたので

「だいじょうぶ。みんなのおかげでたすかりました。おばけさんもともだちがほしかったみたいです。おれいにおばけのおかあさんからゆうしゃのしるしのしゅりけんをわたしてもらいます。」

と言って、何事かと思って隣の事務室から出てきて様子をみていたモコさんに

「子どもたちに渡してあげてください。」

と手裏剣の入った箱を渡しながら、小声で言うと、モコさんは

「わたし?メイクもしてないのにこのまま、おばけのおかあさん?」

と不満そうな顔をしたが、僕は二、三度頷いてそのまま箱を渡した。僕がそのまま渡すよりはモコさんが渡したほうがただの手裏剣が特別な感じがしていいような気がした。モコさんはうまく話を合わせてくれた。

「おばけのおかあさんです。おばけさんとなかよくしてね。」

と言いながら、ひとりずつ手裏剣を渡してくれた。

「みんな、よかったねー。じゃーおへやかえろうか。ては、つなげないね。じゃ、そのままゆっくりかえろうね。」

片手にボール、片手に手裏剣を持っている子どもたちの様子を見てリーちゃんがそう言うと、

「そうだね、みんな、しゅりけんはおっことさないでねー。」

とルーシーが言った。モコさんは箱を僕に返しながら

「貸しとくから。ゴディバかな。」

と言って右手の甲で僕の左胸を軽くたたきながら言い、事務室に入っていった。ソファの陰に落ちているシーツを拾い、(ゴディバは高すぎでしょう。)と思いながら子どもたちのあとを追った。

 お部屋に帰ると麦が僕のところに来て

「たまだくん、たべられなかった?」

と聞いたので、

「こゆびをすこし。」

と言いながら右の小指の第二関節をまげて、右手の甲を見せた。

「えー、いたくなかった?」

と心配そうに聞かれたので

「ちょっとね。でも大丈夫。」

と言って僕は右手の甲に左手を重ね、

ちちんぷいぷい、もとどおりになーれ!」

と言った後、左手を右手から外すと、あれ不思議、右の小指は元通り!

「えっ、なおったの?」

と右手をしげしげと見ながら麦。

「なおったよ。だからだいじょうぶ。しんぱいしてくれてありがと。」

と言うと

「ふーん」

と言った感じでその時はあまり反応はなかった。

 いつもは麦はバアバのおむかえなのだが、今日は早めにママがお迎えだった。ママが部屋に入ってくるなり麦が何か興奮してママにお話をしていた。帰るときにママが僕に

「たまだくん、今日、おばけに指、食べられたんだって?むーちゃんがコーフンして言ってたよ。」

と言われた。結構雑なシナリオだったけど子どもたちの想像力はそれをはるかにしのぎ、子どもの頭の中で現実味がてんこ盛りになっていたようだった。

 

 後日、園で野球のボールぐらいのビニールのボールを買ってもらい、ホールでボール投げをしたりして遊んだ。武士をはじめとして子どもたちが石を投げたりすることはなかったが、義樹が砂を投げるのは時折見られた。それはどうやら砂を投げることよりも砂が舞ってきらきらするのを見たかったのではないかというのがリーちゃんの見立てだった。

 はじめから口から火を噴きながら砂を投げまくる怪獣ヨシゴンは困ったものだと決めつけていた。実際はきらきらと空に舞う小さな粒をいとおしそうに眺める義樹王子だった。先入観で何事も判断してはいかんということを教えてもらった。子どもの行動には理由があることも改めて学んだ。また、たとえヨシゴンであってもこのころの子どもにはありがちな元気な姿だし、義樹王子の大人が忘れてしまった感性も同時に兼ね備えるという子どもの多様性、可能性も教えてもらった。よしくん、諸々教えていただきありがとうございます。ちなみに迷子の手裏剣は子どもたちに聞いたところ、ちゃんと持ち主に戻りました。名誉のために名前は申し上げられませんが。以上。